パン教室の開きかた・タイムスケジュール

パン教室
教室風景

はじめに


実際に「教えて」と頼まれたら
まずは気負わずに、「じゃ一緒に楽しく作ろう」
といってやってみるのもいいですが
身内で練習程度に一度やってみるくらいにとどめ、
せっかくならキチンと教室として開催したほうが
教えてもらう方も気が楽かなと思います。
一緒に。となると台所を使わせてもらうなどで
気を使ったり、手土産など気にされたりしますが
教室ということで具体的な時間や
レッスン料を提示してしまえば
お互い気を遣わずに長く続けられると感じました。

この記事の目次

  1. レッスン料をいただくことについて
  2. 前日以前の準備
  3. 前日の準備
  4. 当日の準備
  5. 当日の段取り
  6. まずはお試しレッスン
  7. 勇気を出す方法
  8. 失敗したときは
  9. ランチのヒントはカフェで

これらをお伝えしていきますが
具体例の一つとして参考に
またこうすればよかった、
という反省点なども
一緒にお伝えします。
が、人それぞれ、得意なことや不得意なこと
性格などもありますよね
私の具体例や反省点が
正解ということではないので
こういうやり方の人もいたんだなという感じで(笑)

レッスン料をいただくこと

おそらく、教えてという最初の生徒さんは
身内だったり、お友達、同僚
という知り合いの方々でしょう。
正直、お金のやり取りなどやりにくい
そんな気持ちになる方も多いと思います。
私もそうでした。
変に遠慮して
「じゃあ、材料費だけ」
「じゃあ、材料費とちょっと光熱費分+αで」
という感じになりがちです。が、
長く続けたいなら考え方を
ひっくり返してしまった方が
結果的に生徒さんにとっても自分にとってもいいです

まず、遠慮した少額でやり始めると
後々値上げするのが難しくなります
そして、どんなに楽しいことでも
大変な部分があります。
疲れることもあります
そんな時材料費だけ、程度でやっていると
ちらっとでも嫌になってしまいます
ずるいことを一瞬でも思ってしまい
自己嫌悪におちいります
誠実にお教えしていきたいのに、
あまりいただいてないから、
材料のランク落とそうかなとか
つい誠実さを保つのが大変になる瞬間が
心に生まれてきます
誠実さを保ち
家計が苦しくなっても困ります

それよりは、せっかくお教えするのだから
納得の材料を使い、納得いくレベルの教室を開こう
そして続けていこうと思え、
実際続けられるだけ
キチンといただくべきです。

教室を始めると作業は当日だけでは当然ありません
ずっとどこかで教室のことを考えます
次はどんなパンをお伝えしようか
それに合わせてどんなランチをお出ししようか
どんな風に教えたらわかりやすく
どんな食器だと喜んでもらえるか
レシピの資料をつくったり
成型のやり方を図解したものを作ったりします

楽しいことですが労働でもあります
教室の他に学校行事、役員仕事、家事や育児もあるのです。

逆に自分が生徒だとしたら、と考えてください
一生懸命教えてくれる相手に
材料費だけなんて申し訳ない
そう思いませんか
でもどうしても受け取ってもらえないなら
せめて手土産でもと思ったりしませんか
そうなったらやや負担ですよね

教えていただく感謝の気持ちを
お金でお渡しする

お金=ありがとう券

そう考えるといいとおもいませんか。

前日以前の準備

決めごとを最初にキチンとしておくと楽でした
レッスンの内容 パンを2種類お教えする。
        (詳しくはタイムスケジュールのところで)
        作ったパンは試食用と、家族に味見させたいと思うので
        お土産用に持ち帰るパンになります。
        試食の時にパンだけだとさびしいと感じたので、
        サラダやスープをお付けしました。
        また、コーヒーや紅茶も用意しました。
        レッスン中、発酵待ちなどで少しゆっくりできる時
        座って説明したりおしゃべりタイムがあると
        自分も飲みたいので麦茶などもお出ししていました。
        【反省点】やりすぎだったかな、と思うのは
        1。手作りデザートまでつけたこと。
        2。コーヒー、紅茶をインスタントやティーパックですませず、豆から挽いたり
        茶葉もよいものをお出しして、教室の範疇を超えた「おもてなし」になったこと。
        3。スープもポタージュにしたりすることでコストが少しかかってしまうことも。
        ここまでするならレッスン料をもうすこしいただけばよかったかもしれないです。 
        【喜ばれた点】
        1。出来上がりを写真撮影する時間をちょっとだけ取りました。
        おいしそうに撮影できる方法をお伝えしたり、ちょっとかわいくセッティングしたり。
        焼きたてをすぐ召し上がりたい方がいらっしゃるときは、さっとすませましたが。
        2。持ち帰りのパンがちょっとでもあること。一つのパンをカットして分け合っても
        喜ばれました。お子様も楽しみにされているという声もありました。

レッスン日  生徒さんが、お一人様だったり、
       2人~4人のお友達グループだったりとランダムでした。
       曜日固定せず、月末に、自分がどうしてもNGの日にちをお伝えし
       それ以外でご都合のいい日にちを
       グループ毎に第三希望くらいまで教えてもらい
       グループでない個人の方も第三希望まで伺い
       個人の方を2名ご一緒にしたり、
       それぞれどこかのグループに入ってもらったりと
       アレンジしてレッスン日を決めていました
       途中から、このグループはメンバーさんの
       お仕事の都合で「第3月曜」など固定してくると楽でした。
       【反省点】というか感想として、一月1回のレッスンでしたが、レッスン後に
       次のレッスン日をカレンダーを持ち出して決めてしまえばよかったのですが
       自分も予定が見えない、というあいまいさで、予定が見えそうな月末ギリギリの
       お知らせになっていたのが、生徒さん的にどうだったかな?と気になるところです。
       こちらも、なるべくご希望に合わせてはいましたので、コンスタントに開催はできました。

時間     幼稚園、小学生のお母さまがメインでした。準備の都合とお迎えなどの都合で
       10時から13時まで としていました。
       【反省点】パンの発酵があるので、どうしても時間内に焼きあがらないことがありました
       時間が許す方には途中で事情を説明し、間に合わない方はお迎えして戻ってきていただくか
       後程、焼き上がりをお届けに上がるかを選んでもらっていました。が、そういうことは
       10年やっていて1度か2度でした。

レッスン料  パンを2レシピ、ランチ、ドリンク、おみやげ付きで、3000円 
       途中バターや小麦粉の値上がりがあったので、3500円に価格変更
       クリスマスレッスンでシュトーレンや材料費のかかるパーティーメニューの時は
       クリスマス特別価格で4000円でした。
       が、ランチやデザート、ドリンクを考えると通常レッスン5000円でもよかった。
       もしくは、ドリンクのランクを下げ、デザートはなし、
       スープも具の少ないさらっとしたものでよかったかも
      
         
持参してもらうもの 筆記用具・エプロン・持ち帰り用の大き目のタッパーやかご
          昔はスマホがなかったので、撮影したい方はデジカメをとお願いしてました。

前日の準備

【朝いちばんにやること】
子どもたちを送り出したら
1。教えるレシピに必要な材料がそろっているか量もたりているか確認
2。必要なら足りない分やランチの材料の買い出し
3。レシピのプリントアウト
4。いつもより念入りな掃除
(特に水回り・キッチン・洗面所・トイレ)
ポイントはステンレス部分は光らせる、水垢はしっかりとる。鏡の水滴後もきっちりきれいに。
清潔感を大事にしたい。気分よくパン作りをしていただくため。
【夕飯の支度中に】
4。明日のランチの下ごしらえでやれることがあれば
  夕飯のついでにしておく
(スープの下ごしらえや、水出し麦茶の準備など)
【夕飯の片付けが終わったら】
5。計量(できるところまでしておく)
  計量編参照
6。部屋の片付けと掃除
 (昼間にやってるので夜散らかったのをさっと片づける程度ですが、
  済んだ時には、即来客があっても大丈夫くらいまでしておく
  と明日の朝の掃除は掃除機かける程度、
  クイックルワイパーでもいいくらいなので、気が楽)
7。洗濯機を回し干しておく。
(夜干しに抵抗あればすすぎまですませ朝は脱水して干すところまで)
”とにかく当日朝にバタバタするのを少しでも減らすで可能な限りの下準備をしておく”

当日の準備

昨夜、夜干ししていた洗濯物を外に干す

8:00  全員を送り出したら
      ランチの準備
      サラダなど仕上げて出すだけとか
      スープも温めなおすところまで仕上げる

8:40頃「お客さま目線」で自宅をチェックしつつ
     軽く掃除をすませる。
     作業するテーブルに計量したものを並べる
     必要な道具も並べる
     レシピも並べる

ちょっとコーヒータイムが取れると理想的

2種類目のパン作りの時間に合わせて
1種類目の生地を仕込む
大抵9時50分くらいに仕込み始めることが多かったです。
大急ぎでオワラセナイト、のときは
10時にガス抜きができるようにすることも。

当日の段取り

9:50   計量は済んでいるので5分もあればすみます。1種類目を捏ねて1次発酵させておく
      (ラップにこね終わり時間をかいておくといい)

9:55   準備していると生徒さんが集まりだすが、手洗いなど準備をしてもらっている間には
       1種類目の捏ねに使った道具の洗い物が終わる

10:00  ご挨拶して、さっそく今日のレシピをさらっと説明し
       2種類目の捏ねをスタートさせる。作業しながら説明します。

10:30頃 こね終わったら、準備してあった1種類目の1次発酵済み生地をだします
       ここであまりに捏ねに時間がかかるなら捏ね機にかけて時短作戦。
       初めての方には説明も長くなるしでここで時間が変わってきますが
       このあとの時間は慣れた人達バージョンと思ってみてください。
       (こうすることでパン作りの流れを発酵時間を無駄にせず感覚で覚えてもらえたと思います。)

10:40頃  1種類目のガス抜き、丸め、ベンチタイムまで
        (人数が多く全員がガス抜きにかかわれなくても
         2種類目でやってもらうと伝える)
        発酵の見極めからガス抜き、ベンチタイムについてなど
        説明をしながら。じかんがあればベンチタイム中に洗い物を
        メモを取りたい方はその時間にあててもらう

11:05頃  ベンチタイム終了→成型→仕上げ発酵(目安:小型パン20分大型パン30から40分)
        様子を見てゆっくり目に発酵するか、急いで発酵させるか調整する。
11:10頃  ここが1種類目の成型と2種類目の丸めが同時になって
        時々バタつくので落ち着いて説明しつつ、
        2種類目のガス抜き丸め、ベンチタイム
        (1種類目で手を出せなかった生徒さんにやってもらう)

11:15頃  オーブンの予熱をスタートする(電子レンジオーブンは予熱に時間がかかるので)

11:30頃  仕上げ発酵が終わるので卵を塗るなど仕上げして焼成にはいる

11:40頃 2種類目のベンチタイム終了と焼成がかぶるときがあるのだけど5分10分すぎて→成型

11:50前後 焼成が終わり、2種類目の仕上げ発酵も終わるころなので仕上げて焼成

12:00   スープの温めなおしやランチ準備中、生徒さんにはテーブルの片付けや洗い物
        テーブルセッティングをお願いする

12:10頃  2種類目も焼き上がり、写真タイムをとりつつ試食タイムへ。

余裕のない方は別として、片付けや、持ち帰りの準備を一緒にして、清算

同時期に師範になった仲間もパン教室を運営していいますが、
彼女は試食は一緒にせず
皆さんでどうぞとして、
その間に一人で片付けなどしているそうです。これは上手く流れて段取りよくいった時です。
大型パン、小型パンで発酵や焼成時間もかわってくるので
始めの頃は何度か脳内シミュレーションしていました。

まずはお試しレッスンとして1種類でやってみる

いきなり2種類は大変ということなら
お試しレッスンとして1種類をゆっくりおしえてもいいとおもいます。

勇気をもつために

自信は後からついてくる

そうはいっても怖いですよね。
やったことがないことに自信はもてません
でも、「自信がないから」といっていると
いつまでもはじめられません。
「自信は後からついてくるの」これは
師範を取ったものの、教室をするのが怖い
といった私に先生がおっしゃったセリフです
10年間、毎回思い出しました。
最初は自分に勢いをつけさせるために
途中からは毎回、本当だなとかみしめてました。

完成度の高さよりまず完成させてみる

これは所ジョージさんの名言
ほかにも
「とにかく頭の上からでも下からでも
なんでもいいから建て始めることだ
それが一つの国が出来上がるときってもんだ」
byチャールズ・インガルス(大草原の小さな家のとうさん)
このあたりを座右の銘にしていいました。

失敗したときは

10年もやっていると失敗も数回ありました。
計量ミスというより、レシピの打ち間違いで
塩を2g なのに12g 塩味きつすぎのスコーン

なぜか生地がドロドロしてしまい
どうしてもダレてしまった
つぶれスリッパみたいなシュトーレン
(習った時は上手くいったのに
どうしても粉の種類などかえてもだめで
結局別のレシピにした謎の失敗でした。
毎晩半泣きでドロドロの生地と格闘、
教わった先生に電話をするなど大変でした。)

慌てて発酵させようとしてバターが溶けてしまったクロワッサン

焼成が間に合わずお届けに行ったり。

とにかく、失敗してしまったら
誠実に謝ることしかできません。
キチンとお詫び申し上げ
いつまでも空気が悪いのはいけないので
さっと気持ちを切り替え失敗の原因を自分なりに分析してお伝えし
ご自宅ではこうならないように
反面教師にしてくださいと言っていました。

あんまりにもひどいときには
レッスン料をいただけないということも言いましたが
どうしてもと、皆様お支払いくださいました。
別日にきちんと成功したものをお渡ししたり、

そこまではという時は
別の日のレッスンでゆっくりする時間にさりげなく
焼いておいたお菓子をお出ししたりと
埋め合わせには足りないけれど
自己満足ですがそんなこともありました。

生徒の皆さんは本当に良い方ばかりで
失敗しても、逆にフォローしていただくことばかり。
先生でも失敗するんだね、気が楽になった
とか
こういう時はこうやってやるんだね
と前向きなとらえ方をしてくださったり

もちろんそこに甘えてはいけませんが
失敗しても大丈夫
なんとかなるよといいたくて

ランチのヒントはカフェから

ランチの内容はたまに行くランチ会のお店のものをみて
価格のことや、少ない具材でも見た目豪華にしているな、など
研究していました。
例えば、キュウリはスライサーで一本薄くとり、
それをクルっとまいて盛り付けるとかわいくて豪華で使う量も少なくすみます
サラダは具材を細かめにコロコロさせると、実際の量よりカサ増ししてみえます

とはいえ
主役はあくまでパンの作り方という割り切りが必要だったと思います

以上がパン教室の開催のながれでした。

さいごに

これから
パン教室を始めよう
始めたいけど自信がない
やってみたいけど怖い
そんな方の参考に少しでもなったでしょうか

私は
月一回のこの時間が励みで頑張れる
ここに来ると癒される
そんな風に言っていただけて
本当に幸せだったなと思っています

何はともあれ
「やってみる」
ありがとう券としてレッスン料をいただくので
自然と責任感も生まれてきます
誠実にパンと生徒さんに向き合うこと
そこからご自身の色がでてくることと思います。
きっと素敵な教室になることでしょう。
応援しています

愛と感謝をみなさまに!