グルテンフリーのシュトーレン
はじめに
こんにちは。
名古屋市名東区にある
グルテンフリーのお菓子屋「粉粉-konakona-」
です。
今回は、冬季限定販売(11月~12月上旬)している
米粉で作ったグルテンフリーの「シュトーレン」
について、ご紹介します。
限定商品の販売時期の告知について
※シュトーレンやクッキー缶など、
限定商品については
Instagramで告知
しています。
この記事の内容
・シュトーレンについて
・粉粉が作るシュトーレンのタイプ
・材料について
・米粉シュトーレンの特性
シュトーレンについて
「シュトーレン」は、
最近ではすっかり日本でもおなじみの
クリスマス前のアドベント焼き菓子ですね。
もともとはドイツのお菓子で、
材料や作り方を見ていると、どうやら
日本で言うところの『おせち料理』
くらい、現地ではごちそうなんだろうなと
お見受けしております。
2010年頃でしょうか。
私がシュトーレンを散々練習していた頃は、
まだ、日本ではそこまで認知度も
ありませんでした。
ネット検索をしまくって
ようやく仕入れた知識によれば、
ドイツの家庭それぞれにレシピもあり
使うスパイスもそれぞれ。
中には食用アロマオイルを使うなんて
ケースもありました。
この伝統的なお菓子。
冷蔵庫や輸送手段が無かった頃のドイツで
・卵やバター
・お酒に付け込んだドライフルーツ
・そしてナッツ
など、12月に手に入るおいしいものを
ふんだんに詰め込んで生まれた
クリスマスをお祝いするための
超リッチで特別なお菓子
なんでしょうね。きっと。。。
白くてごつごつとした形は、
白いおくるみにくるまれた
幼子イエスキリストを模した
と言われています。
そして、
切り口が炭鉱のトンネルの入り口
に似ている
から、
シュトレン(ドイツ語 坑道、トンネルの意味)
という名前になったのだそうです。
そんな特別なお菓子シュトーレン。
キリスト教には
クリスマスを待つまでの4週間の待降節
というものがあり、
リースに乗せた4本のろうそくに
毎週1本ずつ、ともす灯りを増やして
お祈りをする
そうなのです。
きっとその時期に
シュトーレンを毎日一切れずつ
大切にいただいていたのだろうな
と思うと、とても素敵な風習ですよね。
年に一度だけ、
毎日ちょっとずついただく
だから、バターやお砂糖がたっぷり
でも大丈夫だったのでしょう。
そんなシュトーレンですが、
現代では食料事情も良くなり、
常時そういったものを普通に
摂取している
のでね…
とはいえ!
せっかくのイベントは楽しまなくては。
『美味しく食べればゼロカロリー』
が本当だったらな(笑)
粉粉が作るシュトーレンのタイプ
さて、そんな素敵な焼き菓子を
グルテンフリーとギルトフリーで
お届けしたい
というテーマで、じっくりとレシピを考えました。
今回のシュトーレンを作るにあたり、
・グルテンフリーにだけこだわるのか
・せっかくなので思いっきりこだわりぬいて
卵やバターも一切使わない振り切った
タイプにするか
結構まよいました。
試作も、
グルテンフリーである
ということに加えて
・バター・卵有り
・バター・卵無し
を作り比べて、知人のプロのパン職人さん方
にも味見してもらって、ご意見を伺ったり…
そして、最終的に
ヴィーガンタイプの
グルテンフリーシュトーレン
が完成しました。
とことんこだわった末に、
小麦粉・卵・バターを使用した
一般的なシュトーレンと比べても、
遜色無い満足感のある仕上がり
にできたと思います。
※特記) コンタミネーションについて
※粉粉の製造工房では、
卵・ナッツ・乳製品を含む商品も
製造しています。
材料について
ラム酒漬けのドライフルーツ
ミックスのドライフルーツを、
たっぷりのラム酒に1年近く漬け込んだもの
を使用しています。
なので、アルコール分はほとんど
飛んでしまっています。
アルコールがマイルドなものが
私の好みです。
ラム酒のドライフルーツやレーズンが
苦手な方も、
これなら食べられる!
と喜んでいただいたこともあり、
とても嬉しかった思い出です。
ローマジパン
シュトーレンをしっとりさせるための
ローマジパン
ローマジパンは、普通は
卵白、グラニュー糖、アーモンドプードル
が原材料となりますが、今回は
『ヴィーガンタイプ』の
グルテンフリーシュトーレン
というテーマで作るので、材料にはこだわります。
卵白の代わりに『匂いのないココナッツオイル』
砂糖はグラニュー糖の代わりに
自然のミネラルが含まれる『きび砂糖』
『カソナード(2022バージョンから)』
を使用しました。
匂いのないココナッツオイル
このシュトーレンの特徴のひとつとして、
「無香ココナッツオイル」を
フル活用してる
という点が挙げられます。
例えば、生地や、ローマジパンにも使用、
焼きあがった生地にも使用しています。
ココナツオイルは、他の油に比べて
酸化しずらいという利点があります。
また、
抗酸化作用や、免疫力のアップ、
抗菌効果に、内臓脂肪の低減効果
なども報告されています。
その上、
腸内環境、腸の粘膜を整えること
にも良いそうです
焼き上がりのシュトーレン生地は、普通は
溶かしバターを刷毛でしっかりつけて
お砂糖をまぶして仕上げ
をします。
※本場では、バターのプールにとっぷりつけます。
贅沢!!
ここでも、
『ヴィーガンタイプ』の
グルテンフリーシュトーレン
では、
バターを使用せずに
無臭ココナッツオイルで仕上げ
をします。
粉糖について
シュトーレンといえば、
白くて厚い層になったお砂糖衣が特徴的
なのですが、ここまできたなら
白いお砂糖をなるべく控えたい方
まで喜んでもらえたらいいな
と思いました。
でも、
クリスマスの特別なお菓子
という、あの白い印象はやはり残したい
という思いもあります。
悩んだ結果、
① 衣の1層目はキビ砂糖
② 最終に粉糖を振りかけて白くお化粧して、
白いおくるみの幼子キリストにしよう
という事に落ち着きました。
振りかける粉糖は、
ピュアな粉糖だと溶けて白さが無くなって
しまうので…
トッピング用の粉糖を使用します。
トッピング用の粉糖について
粉糖にはサラサラにさせるための
『でんぷん』が入ります。
⇒名称は「コーンスターチ」「でんぷん」
だったりしますが、同じような成分
ここまでが普通の粉糖
トッピング用粉糖は、
時間が経っても熱で溶けずに白さが残せる
のが特徴。
そのためには、油脂や乳化剤が使われます。
溶けやすいお砂糖に油の膜を張る
イメージでしょうか。
『乳化剤』と言うと「乳」という文字があり
乳製品っぽいイメージがありますが、
ぜんぜん違います。
これは水分と脂分を分離しないように
混ぜた白濁した状態を「乳化」させる
というので「乳化剤」
つまりは『油分』なわけです。
でもその「乳化剤の油」が何由来なのか
まではわかりません。
でもまぁ、そんなに神経質になる必要は無い
とも思うのですが、やっぱりここまで来たら
自分のできる範囲でこだわりぬこう
と(笑)
探しに探しました。
『富沢商店さんの溶けない粉糖』
■原材料名:
グラニュー糖、澱粉、食用精製加工油脂
「食用精製加工油脂」なので、
「乳化剤」よりはわかりやすい
そんな理由から選びました
米粉シュトーレンの特性
シュトーレンは、もともとクリスマス前に
1か月かけていただくお菓子なので、
『シュトーレンの醍醐味』と言えば、
日に日に熟成が進み、味が馴染んで
美味しさが変わってくる
という点ですね。
ですが、
グルテンフリーの米粉シュトーレン
は、
グルテンのない米粉オンリー。
米粉は要するにお米。
なわけで、どうしても
時間が経ち過ぎると
モロモロとしてしまう
という特性があります。
時間が経ったおにぎりをイメージして
いただくとわかりやすいかもしれませんね。
そのため、一度カットし始めたら
なるべく1、2週間で食べ切って欲しいです。
それ以上になると、
だんだんモロモロとしてきて
フレーク状になってしまいます。
でも、もしそうなってしまった場合、
ヨーグルトに混ぜたりしてみてください。
美味しく楽しんでいただけると思います。